田舎の実家にお墓があるけど遠くてなかなかお墓参りに行けない
実家にはもう誰も住んでいなくてお墓だけがあるけど、あのお墓どうしよう?
自分たちの代で終わりだし、今あるお墓が無縁になってしまう
娘しかいないし、お墓を残しておいてもなあ
最近、こういった御相談を頂くことが多くなりました。
10年程前ではそんなに話題にもならなかったですが、ここ数年急激に増えてきました。実際そういった悩みを抱えている方はたくさんいらっしゃったのですが、お墓のことですし、今すぐではなくともいつかはと思いながら、そのまま過ごされて来たのではないかと思います。
この様な場合「墓じまい」という方法があります。
墓じまいとは
墓じまいとは、今あるお墓を解体・撤去し墓地区画使用権を墓地所有者(公営墓地なら市町村、寺院、民間霊園等)へ返却することです。
だいたいどこの霊園や寺院でも更地戻しが基本ですので、墓石だけ撤去して基礎はそのままといったことは認められません。
基礎を撤去した場合、今まで使用していた区画が穴の空いた状態になるので埋め戻しも必要となります。それが更地戻しです。
また、お墓の中にあった遺骨もそのままというわけにはいかないので、新にお墓を建立してそちらに納めるか、納骨堂などの施設に納めることとなります。これを「改葬」と言います。
なので、「墓じまい」と「改葬」は基本、セットになります。
こう聞くといろいろやることが多くて大変そうだなと思われるかもしれません。ましてや、遠方にあるお墓を墓じまいする場合、霊園や寺院などへの挨拶、遺骨の移動など考えると、何度もお墓に行ってられないということもあると思います。
ただ、最近では遺骨の移動や手続きの代行をしてくれるサービスもあるので、そういったお悩みを持っていらっしゃる方は一度聞いてみるのもいいと思います。
墓じまいの流れ
では、墓じまいの実際の流れはどういったものなのでしょう。
①新しい遺骨の受け入れ先を決定し、そこから「受入証明書」を発行してもらいます。
「受入証明書」ですが、改葬先に提出を求められることがほどんどなので事前にコピーをとっておくか、原本が必要な場合は複数枚用意しておいた方がいいでしょう。
②現在、お墓が建っている墓地の管理者に墓じまいの意向を伝えます。
・公営墓地にお墓がある場合は、市役所や区役所へ戸籍謄本や住民票などの書類が必要となりますので、一度電話で必要書類などを確認し用意されておいた方が無難です。郵送でやり取りも可能ですが、なるべくなら一度で済ませた方が楽かと思います。
・民間霊園にお墓がある場合は、「永代使用許可証」の返却を求められますのでこちらを用意されておかれた方がいいでしょう。よくあるのが「永代使用許可証」をどこにしまったか忘れている場合です。再発行となると結構面倒だったりしますので気を付けて下さい。
・寺院の境内墓地にある場合は、まず今までの感謝を伝え、墓じまいをすることになった経緯を説明します。その時は菓子箱等の手土産を持参することをおすすめします。この後のやり取りを円滑に進めるのに心配りは必要です。
公営墓地や民間霊園などは事務的に話が進むケースがほどんどですが、寺院墓地の場合、離壇やお布施などデリケートな部分もあるので、分からないことは曖昧にせずしっかりと寺院に確認された方がいいかと思います。
③解体業者の選定をします。
寺院の境内墓地にお墓がある場合、寺院から業者を紹介してもらうのが一般的ですが、割高になる可能性があります。ただ、寺院が間に入っていることで安心感があります。
他には地元の石材店に依頼する方法が有りますが、その場合必ず数社から見積を取りましょう。業者からすると解体工事はその後の付き合いも無くなるので、ボッタくられる可能性があります。しっかりと吟味しましょう。
④閉眼供養をし、遺骨を取り出します。
解体業者が決まったら、「閉眼供養」を行います。「閉眼供養」とは「お墓から仏様に出て頂く儀式」のことです。宗派によっては「お性魂抜き」という場合もあります。必ず閉眼供養をしなければならないという決まりではありませんが、仏事のことなので、なるべくならしておいた方がいいと思います。
その後、遺骨をお墓から取り出し、新しい納骨先に納めます。
⑤お墓の解体を行います。
あとは、依頼した解体業者がお墓を解体し、更地に戻します。
以上が、墓じまいの流れとなります。
墓じまいの費用
さて、気になる墓じまいの費用ですが、
- 墓石撤去費用:10万円前後 /1㎡あたり
- お布施 :3万円~
- 手続き代行 :1万円~
上記の費用が墓じまいに必要となります。墓石撤去費用は墓石自体の大きさや敷地の広さ、工事条件によって金額が変わってきます。なので、総額でおおよそ20万円~50万円ぐらいを目安に考えておかれるといいでしょう。
※工事指定業者が決まっている霊園では正直この金額では当てはまらないこともあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?いろいろ手続きや費用が必要な墓じまいですが、ここ最近かなり増えてきているのは事実ですし、それに伴ってトラブルも増えてきています。墓じまいを何度もする人はいませんから分からないことがあっても、なかなか相談する人もいないのが現状です。
ただ、今ではインターネットで調べればいろいろと情報が出てくるので、しっかりと時間をかけ準備することをおすすめします。見積無料のところや全国対応のところもあるので、一度問い合わせてみるのもいいかもしれません。